自動車ディーラー営業を20年続けた私が、43歳で転職して分かったこと

転職したい。

そう思い始めたのは、最近のことではない。

たぶん、20年くらい前から思っていた(笑)。

それでも私は、ずっと同じ会社で働いていた。

25歳の頃には、

「今さら転職してもなあ」

と思っていた。

30歳になれば、

「もう30歳だしなあ」

と思った。

35歳になれば、もっと難しいと思った。

40歳を過ぎた頃には、

転職という選択肢そのものを、どこかで諦めていたような気がする。

自分は、この会社でしかやっていけない。

そんなふうに思い込んでいた。

だから、本当に仕事が嫌な時も、

耐えるしかないと思っていた。

吐きそうになりながら会社へ行ったこともある。

それでも辞めなかった。

いや。

辞められなかった、という方が近いのかもしれない。


目次

自動車ディーラー営業を20年。仕事には慣れていた

私は、自動車ディーラーで20年近く営業をしていた。

そのうち17年ほどは、トヨタ系ディーラーの営業。

毎月目標があって、

車を売って、

保険を売って、

点検を取って、

また次の月が来る。

良くも悪くも、それが日常だった。

もちろん、嫌なこともたくさんあった。

でも、お客様とは仲が良かった。

長く付き合ってくれるお客様もいたし、

一緒に働く人たちとも、それなりに楽しくやっていたと思う。

仕事にも慣れていた。

20年近くやっていれば、大体のことはできる。

帰る時間も早かった。

年収も悪くなかった。

それでも、ずっと心のどこかに、

「このままでいいのかな」

という気持ちはあった。


最後の3年間で、少しずつ未来が見えなくなった

そんな私にとって大きかったのが、最後の3年間だった。

異動でレクサスに行った。

同じ自動車ディーラーなのだから、

それほど変わらないだろうと思っていた。

でも、実際は全然違った。

お客様も違う。

働いている人も違う。

仕事に対する考え方も違った。

かなり気を遣わなければならないお客様も多かった。

いや。

「かなり」ではなく、「だいぶ」だったかもしれない(笑)。

当然、働く側にもストレスは溜まる。

そのせいだったのかもしれない。

職場では、お客様への不満を耳にすることも増えた。

そうでもしなければ、

気持ちを保てないこともあったのだと思う。

誰が悪いという話ではない。

ただ、

「私は、この環境には合わないのかもしれない」

と思うようになった。

そして、もう一つ。

今でも忘れられない出来事がある。


「黒を白と言わなければならないこともある」

仕事の中で、

私はコンプライアンス上、問題があるのではないかと思うことに気づいた。

責任者に報告した。

その場には、3人の責任者がいた。

2人は下を向いた。

そして、統括する立場の人が言った。

「あなたが言いたいことは分かる。間違っていない」

そこまではよかった。

そのあとだった。

「黒を白と言わなければならないこともある」

その言葉が、ずっと引っかかった。

もちろん、

会社には会社の事情がある。

管理する側には、

私には見えていないものもあったのだと思う。

それでも、

自分が信じられないものを信じたふりをして、

この先も働いていくことができるのだろうか。

そう思った。

自分が信頼できなくなった人たちが、

この先も会社にいて、

評価され、

出世していく。

その場所で、

自分は何を目指して頑張ればいいのだろう。

仕事はできる。

帰る時間も早い。

給料も悪くない。

なのに、

なんだか息苦しかった。

この頃には、

ここで定年まで働いている自分の姿が、

少しずつ見えなくなっていた。


娘の大学進学が、43歳で転職する大きなきっかけになった

そんな時、

娘の大学進学が決まった。

妻と娘は、東京へ行くことになった。

妻から聞かれた。

「あなたは、どうするの?」

私は言った。

「そんな簡単に、この歳で転職先なんて見つからないよ」

本当にそう思っていた。

当時の年収も悪くなかった。

東京で家族を養えるだけの年収をもらえる会社が、

43歳の自分に見つかるとも思えなかった。

それでも考えた。

自分にとって、

一番大事なものは何なんだろう。

娘は一人娘だった。

このまま妻と娘を東京へ送り出して、

私は一人、ここに残るのか。

違う。

そう思った。

私はこれまで、

何より家族を優先して生きてきたつもりだった。

なのに、

ここで仕事を理由に家族と離れることを選んだら、

自分がこれまで大事にしてきたものから、

自分自身が外れてしまう気がした。

どんなことがあっても、

一緒にいられるのなら、一緒にいよう。

そう決めた。

不思議と、

そこからは吹っ切れていた。

20年間怖くてできなかった転職を、

43歳になって、

本気で始めることにした。


43歳の転職活動。100社近く落ちた

会社には何も言わなかった。

まず、転職サイトに登録した。

そして、

紹介された求人にエントリーしていった。

落ちた。

また落ちた。

さらに落ちた(笑)。

正確な数は覚えていないけれど、

おそらく100社近くは落ちたと思う。

妻とも選考状況を共有していた。

あまりに落ちるので、

妻は笑っていた(笑)。

その頃には、

妻と娘が先に東京へ行くことも決まっていた。

私は後から追いかけることになった。

時間も、それほどなかった。

とにかく書類選考で落ちた。


異業種への転職を目指して、途中で気づいたこと

当時の私は、

どこかで異業種に憧れていた。

20年間、自動車業界で働いてきた。

その大変さも、

嫌というほど知っていた。

だから、

せっかく転職するのなら、

まったく違う仕事をしてみたい。

そんな気持ちがあったのだと思う。

最初は業界をあまり絞らずに応募した。

でも、

転職活動を続けているうちに気づいた。

自分の20年間の経験とまったくつながらない会社では、

そもそも書類選考を通過することすら難しい。

そして、

仮に入社できたとしても、

それは自分にとっても、

採用する会社にとっても、

本当に幸せなのだろうか。

そこから考え方を変えた。

自動車業界での20年間を捨てるのではなく、

その経験を使って、

少し違う仕事をしてみよう。

自動車関係の会社に絞り始めた。

すると、

明らかに書類選考を通過する確率が上がった。

面白いくらい違った。

ただし、

ディーラーに戻るつもりはなかった。

同じ自動車業界でも、

今までとは違う仕事をしてみたかった。

仕事の幅を広げたかったし、

自分の経験値も増やしたかった。

今振り返ると、

43歳の私に必要だったのは、

20年間積み上げてきたものを全部捨てることではなく、

その経験を持ったまま、

少し角度を変えることだったのだと思う。


43歳でSPIを勉強した(笑)

面接まで進めた会社は、

10社もなかったと思う。

毎週のように東京へ面接に行った。

43歳になって、

SPIの勉強もした(笑)。

その中で、

今でも印象に残っている会社がある。

ある大手企業の自動車関連部門だった。

書類選考を通過して、

適性検査を受けて、

面接まで進んだ。

面接の感触も悪くなかった。

ところが、

その会社には適性検査のボーダーラインがあった。

面接では評価してもらえたようで、

もう一度、

適性検査を受ける機会をもらった。

おそらく、

かなり異例だったと思う。

勉強した。

43歳で(笑)。

そして、

落ちた。

二回目も、

ボーダーを超えられなかった。

悔しかった。

でも、

この経験で一つ分かった。

どれだけ営業経験があっても、

どれだけ面接で評価してもらえても、

それだけでは入れない会社もある。

会社には、

会社の採用基準がある。

そして、

自分自身が40代で転職活動をしてみて強く感じたのは、

「これまで何をしてきたのか」

そして、

「その経験が、応募する会社の仕事とどうつながるのか」

ということだった。

少なくとも、

私の転職活動では、

そこが書類選考や面接の結果に大きく影響しているように感じた。

20代の頃に想像していた転職とは、

やっぱり違った。


それでも、43歳で転職先が決まった

それでも最終的には、

仕事に縁があった。

新しい会社で働くことが決まった。

もちろん不安はあった。

新しい仕事。

新しい会社。

そして、

東京での新しい生活。

大変になるだろうとは思っていた。

それでも、

家族3人で一緒に暮らせることの方が、

私には大きかった。

妻も、

「どうにかなるよ」

と言ってくれた。

ありがたいことに、

転職先も、変な会社ではなさそうだった(笑)。

頑張ろう。

そう思った。

20年間勤めた会社を辞めて、

私は東京へ向かった。

あの時は、

本当に晴れやかな気持ちだった。


転職して良かったこと

転職して、

良かったことはたくさんある。

まず、

毎日が新しかった。

何をするにも、

一生懸命だった。

20年間同じ会社にいた時に感じていたマンネリとは、

縁がなくなった。

土曜日も、

日曜日も、

祝日も休みになった。

年間休日も確実に増えた。

そして、

初めて家族3人の休みが揃った。

ただ、

新しい仕事を覚えるのに必死で、

それをゆっくり噛みしめる余裕は、

あまりなかった気もする(笑)。


同じ自動車業界でも、仕事はまったく違った

一方で、

転職するまで分からなかったことも、

たくさんあった。

同じ自動車業界だから、

ある程度は似ていると思っていた。

全然違った。

ディーラー時代は、

本気で営業をしていた。

今は、

事務処理に追われながら営業をしている。

メール。

Excel。

社内調整。

稟議。

決裁。

ディーラー時代には、

ほとんど経験しなかったことの連続だった。

お客様を向いて仕事をしているというより、

社内を向いて仕事をしているように感じることもある。

仕事の進め方も、

スピード感も、

残業に対する考え方も違った。

同じ「自動車関係」でも、

会社が変われば、

こんなにも仕事は変わるのかと思った。

人間関係もそうだ。

これはもう、

入ってみなければ分からない。

ある意味、

ガチャだと思う(笑)。

求人票にも、

面接にも、

そこまでは書いていない。

転職すれば、

すべてが良くなるわけではない。

前の会社には、

前の会社の良さがあった。

新しい会社には、

新しい会社の良さがある。

そして、

どちらにも大変なことはある。

これは、

実際に転職してみて初めて分かった。


「40代だから転職は無理」と思っている人へ

もし今、

自動車ディーラーで長く働いていて、

「辞めたい。でも、もう40代だし無理だろう」

と思っている人がいたら、

私はこう言うと思う。

無理ではない。

ただ、

今の年収をある程度維持したいのなら、

これまでの経験が少しでも生きる場所を選んだ方がいいと思う。

私も最初は、

異業種へ行きたかった。

だから、

最初から自動車業界だけに絞る必要もないと思う。

興味があるのなら、

一度いろいろな会社を受けてみればいい。

落ちるかもしれない。

私は、

100社近く落ちた(笑)。

でも、

不思議なもので、

続けていると少しずつ見えてくる。

自分は何を評価されるのか。

どこなら書類が通るのか。

自分の経験は、

どこで必要とされるのか。

40代の転職では、

これまで積み上げてきた経験を、

どう次の仕事につなげるかが大事なのだと思う。

企業側から見ても、

40代を採用するなら、

これまでの経験や知識を新しい仕事でどう生かしてくれるのか。

そこを期待するのは自然なことだと思う。

年収を大きく下げれば、

まったく違う仕事へ行く選択肢も増えるのかもしれない。

でも、

ある程度の年収を維持しながら新しいことをしたいのなら、

これまでの経験を捨てるのではなく、

その経験を使って、

少し角度を変える。

私は、

それも立派な転職だと思っている。

新鮮さもある。

新しい経験もできる。

それまで積み上げてきたものも、

無駄にならない。


自分が思っているほど、40代の価値は低くない

私は20年間、

「自分はここでしか働けない」

と思っていた。

25歳でも、

30歳でも、

35歳でも、

40歳でも、

転職するにはもう遅いと思っていた。

でも、

43歳で転職した。

100社近く落ちた。

それでも、

仕事は見つかった。

そして44歳になった今、

転職してすべてがうまくいったのかと聞かれれば、

そんなことはない(笑)。

今も、

自分の働き方について考えている。

もしかすると、

これからもう一度、

仕事を変えることだってあるかもしれない。

そんな今の働き方や、これからの暮らしについて考えたことは、以前「人生の設計図を、もう一度考えている。」にも書いた。

だから私は、

「40代でも転職すれば人生が変わる」

なんてことを言うつもりはない。

ただ、

一つだけ。

実際に外へ出てみて、

分かったことがある。

40代には、

40代まで働いてきた時間がある。

その時間の中には、

自分では当たり前になってしまった経験や、

自分では価値がないと思っている仕事がある。

でも、

場所が変われば、

それを必要としている会社もある。

20年間、

自動車業界しか知らなかった。

ずっと、

それが自分の弱みだと思っていた。

でも、

43歳で転職活動をしてみて、

少し考え方が変わった。

20年間、

自動車業界で働いてきた。

それは、

弱みではなく、

私が20年間かけて積み上げてきたものでもあった。

自分が思っているほど、

40代の価値は低くない。

私は43歳になって、

ようやくそれを知った。


同じように自動車業界で働いていて、転職やこれからの仕事について悩んでいる方がいたら、気軽に声をかけてください☺️

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