43歳で、初めて転職活動をした。
それまで約20年間、自動車ディーラーの営業として働いてきた。
正直に言うと、最初はそれなりに自信があった。
20年間営業をしてきた。
車を売ってきた。
それなりに経験も積んできた。
転職活動を始めれば、どこかにはすぐ引っかかるだろう。
そんなふうに思っていた。
でも、実際は違った。
最終的に応募した会社は、約100社。
今振り返ると、自分が転職市場というものを少しずつ理解していった100社だったように思う。
最初は、かなり夢を見ていた
転職活動を始めた頃は、大手企業を中心に応募していた。
せっかく20年間勤めた会社を辞める。
だったら、一度くらい行ってみたい会社に挑戦してみたかった。
募集内容と自分の経験が、完全に一致していたわけではない。
それでも、
「営業を20年やってきたんだから、できるんじゃないか」
と思っていた。
今なら分かる。
自分が「できる」と思うことと、企業が「この人に任せたい」と思うことは違う。
でも、当時はそこまで冷静ではなかった。
一度くらい夢を追ってみたかった。
だから、受けたいと思った大手企業にはどんどん応募した。
落ちても、それほど引きずらなかった。
もともと簡単に入れるとは思っていない会社だった。
引っかかったらラッキー。
受けずに後悔するより、受けて落ちた方がいい。
そんな感覚だったと思う。
20社を超えたあたりから、少しずつ本気になった
10社。
20社。
応募しても、思っていたほど書類選考を通過しない。
そのあたりから、
「あれ?」
とは思い始めた。
年齢もあるだろう。
募集している仕事と、自分の経験がマッチしていないこともあったと思う。
それでも、まだ挑戦は続けた。
大手企業を中心に、自分が受けたいと思った会社を一つずつ受けていった。
そして気づけば、応募した会社はかなりの数になっていた。
それでも私は、途中で大きく方向転換しなかった。
たぶん、自分自身がまだ納得していなかったからだ。
80社くらい受けて、ようやく現実が見えてきた
感覚としては、80社くらいだったと思う。
その頃になると、受けたいと思っていた大手企業もかなり減っていた。
応募した。
落ちた。
また別の会社に応募した。
それを繰り返して、自分が一度挑戦してみたかった会社を、ほとんど受け終わった。
そこで初めて、
「そろそろ、本当に自分が受かる可能性のある会社を探そう」
と思うようになった。
同じ頃、妻と娘が東京へ行くことも決まった。
転職活動は、いつまでも夢を追い続けるだけのものではなくなった。
本当に次の仕事を決めなければならない。
ただ、不思議と「諦めた」という感覚はなかった。
80社近く応募して、自分がやってみたかったことにはかなり挑戦した。
だからこそ、次へ進むことができたのだと思う。
20年間の経験を使うことにした
そこから、応募する会社を大きく変えた。
自動車に関わる会社を中心に探すようになった。
最初は、同じ自動車業界へ行くことをあまり考えていなかった。
20年間も車の営業をしてきた。
せっかく転職するなら、違う世界へ行ってみたい。
そんな気持ちがあった。
でも、約80社に応募して、ようやく自分の中で納得できた。
43歳の自分が転職するなら、20年間積み上げてきた経験を使った方がいい。
それは妥協ではなくなっていた。
むしろ、
「自分を活かせる場所でやろう」
と思うようになっていた。
そして、もう一つ条件を決めた。
大手企業そのものだけではなく、そのグループ会社も見る。
大手資本の基盤がある。
福利厚生が安定している。
長く働くことを考えられる。
そのうえで、自動車業界で自分の経験を活かせる会社を探した。
転職活動の前半とは、求人の見方がかなり変わっていたと思う。
自動車ディーラーで20年間働いた経験が、転職してどう見えるようになったのかは、別の記事にも書いている。
自動車業界に絞ると、明らかに反応が変わった
応募先を自動車関連の会社へ寄せてから、明らかに変わったことがあった。
まず、書類選考の通過率が違った。
そして面接でも、相手の反応が違った。
それ以上に違ったのは、自分だった。
面接で、ちゃんと話せる(笑)。
車のことなら話せる。
車を売ることについても話せる。
お客様との関係についても話せる。
営業の現場で起きることも、自分の経験として答えられる。
20年間やってきた仕事だから、用意した答えを思い出して話しているわけではない。
聞かれれば、自分の言葉で答えられる。
そのとき初めて、20年間やってきたことの意味を、転職市場でも感じた気がする。
「20年間、自動車ディーラーの営業しかしてこなかった」
ではなかった。
「20年間、自動車ディーラーの営業をしてきた」
同じ事実でも、自分の中で少し見え方が変わった。
内定が出たときは、「やったな」と思った
そして、今の会社から内定をもらった。
そのとき最初に思ったのは、
「やったな」
だった。
約100社に応募して、ようやく決まった。
もちろん、その安堵もあったと思う。
でも、「どこでもいいから決まってよかった」という気持ちではなかった。
会社の規模感は、それまで働いていた会社とは違った。
大手企業のグループという基盤がある。
福利厚生も住宅補助も良くなる。
そして、これまでとは違う規模で自動車に関わる仕事ができる。
家族も喜んでくれたと思う。
最初は、
「また自動車関係か」
と思っていた自分もいた。
でも、その頃にはもう違った。
自動車業界に戻ったという感覚ではなく、
「自分を活かせる場所でやろう」
と思っていた。
だから、妥協して決めたという感覚はなかった。
満足していた。
約100社に応募したことを、後悔していない
もし今、
「最初から自動車業界に絞っておけばよかったですか?」
と聞かれたら、私はたぶん「いいえ」と答える。
もちろん、最初から自分の経験に近い会社だけを受けていれば、もっと早く転職活動が終わっていた可能性はある。
でも、私はきっと納得していなかった。
「あの会社も受けてみたかった」
「本当は違う仕事もできたんじゃないか」
そんなことを考え続けていたと思う。
43歳。
約20年間働いて、それなりに経験も積んできた。
だからこそ、中途半端なまま次へ進むことが、自分にはできなかった。
受けたい会社には応募した。
やってみたい仕事にも挑戦した。
そして、ことごとく落ちた(笑)。
そこまでやったから、ようやく自分自身が納得できた。
自分で自分を納得させるための材料が必要だったのだと思う。
約100社に応募したことを、私はまったく後悔していない。
遠回りだったのかもしれない。
でも、私には必要な遠回りだった。
やりたいことをやった。
受けたい会社も受けた。
そのうえで最後に選んだのが、20年間やってきた自動車の経験を活かせる場所だった。
転職するからといって、それまでの経験を全部捨てる必要はなかった。
20年間の経験を持ったまま、少し角度を変えればよかった。
それを自分自身が納得するまでに、私は約100社必要だった(笑)。
だから今振り返っても、あの転職活動には満足している。
同じように自動車業界で働いていて、転職するか迷っている方や、これまでの経験をどう活かせばいいのか悩んでいる方がいたら、気軽に声をかけてください☺️
私自身、43歳で約100社に応募して、かなり遠回りしました。
だからこそ、同じように悩んでいる方と話せることもあると思っています。

