一人暮らしになるから、暮らしのサイズを小さくする。

一人暮らしになって数日経った頃だった。

冷蔵庫を開けるたびに、中にあったものを少しずつ捨てていた。

家族で暮らしていたときに買った食材は、一人ではなかなか減らない。

気づけば傷んでいるものもあった。

それを捨てているうちに、507Lあった冷蔵庫の中は、だんだんスカスカになっていった。

今では、まったく使っていないボックスもいくつかある。

「さすがに一人には大きいな」

とは思った。

でも、冷える。

壊れているわけでもない。

わざわざ買い替える理由もなかった。

だから、そのまま使っていた。


目次

使えるものは、そのまま使いたかった

今回、一人暮らしの部屋へ引っ越すことになった。

できれば、今あるものはそのまま使いたかった。

冷蔵庫も。

洗濯機も。

ベッドも。

ソファも。

テーブルも。

新しく買えば、当然お金がかかる。

ところが、内見をして部屋を測っていくと、現実が見えてきた。

でかい(笑)。

何もかも、今度の25㎡の部屋には大きかった。

生活はすでに一人になっているのに、持っているもののサイズは家族で暮らしていた頃のままだった。

できれば使いたい。

でも、入らない。

今回の引っ越しでは、いろいろなものを今の暮らしに合わせて買い替えるしかない。

それを完全に受け入れたのは、たぶん内見をしているときだったと思う。


507Lから、160Lへ

新しい冷蔵庫を探しに、ヨドバシへ行った。

最初に候補にしていたのは、Panasonicの248L。

507Lを使っている私からすると、それでも十分に小さく見えた。

「これくらいでいいかな」

と思っていた。

ところが、店員さんと話しながらいろいろ見ていくと、もう少し小さくてもいいような気がしてきた。

180L。

さらに160L。

最近は外食も増えた。

家で食べても、惣菜だけで終わる日も多い。

そもそも507Lの冷蔵庫を、ほとんど使えていない。

だったら、大きな冷蔵庫を買う必要はない。

最終的に選んだのは、

TOSHIBA GR-Y16BP-KT。

160Lの冷蔵庫だった。

冷蔵室98L、冷凍室62L。

180Lのモデルとも比較したけれど、私が気になっていた冷凍室は同じ62Lだった。

それなら160Lで十分だった。

冷蔵庫の役割は、私にとって分かりやすい。

冷やす。

凍らせる。

今の生活で使わない容量のために、大きな冷蔵庫を置く必要はない。

507Lから160L。

数字だけ見ると、ずいぶん小さくなった。

でも不思議と、我慢して小さくしたという感覚はなかった。

むしろ今の自分には、このくらいがちょうどいいと思えた。


洗濯機は30分以上悩んだ

冷蔵庫とは違って、洗濯機はかなり悩んだ。

安いものなら4万円台で買える。

一方、私が気になったのはインバーターを搭載したAQUAの8kg。

洗剤と柔軟剤の自動投入も付いている。

その差は約3万円。

一人暮らしなら、安い方で十分じゃないか。

実際、店員さんも安い方を選ぶ人は多いと言っていた。

たぶん30分以上悩んでいたと思う(笑)。

それでも、最終的には高い方を選んだ。

一番気になったのは、音だった。

今使っている東芝のドラム式洗濯機はかなり静かだ。

店員さんからも、音の数値が5dB違うだけでも体感ではかなり違って感じると思う、と説明された。

比較していた機種は、それ以上の差があった。

新しい部屋を探すとき、私は静かさをかなり気にしていた。

何軒も内見して、ようやく見つけた部屋も、内見中は驚くほど静かだった。

せっかく静かな部屋を選んだのに、自分でうるさい洗濯機を持ち込むのも変な話だ(笑)。

休日に洗濯機の音が気になる。

夜だから回すのをやめておこう。

振動は大丈夫かな、と毎回気にする。

そんなふうに、洗濯機に自分の生活を合わせたくなかったのだと思う。

冷蔵庫は、小さくなっても私の生活はほとんど変わらない。

でも洗濯機は、選ぶものによって私の生活の動きまで変わるかもしれない。

そう考えると、3万円の差は単純に高いとは思えなくなった。

選んだのは、

AQUA AQW-VP8B。

8kgのインバーター搭載モデル。

今まで使ったことのない機能も付いている。

買ったあとになって、少し使うのが楽しみになっている自分がいる(笑)。


「安いものが欲しいんじゃない。いいものを安く買いたい」

もちろん、予算はいくらでもあるわけではない。

むしろ今は引っ越しで、次から次へとお金が出ていく。

冷蔵庫。

洗濯機。

ベッド。

カーテン。

まだまだ必要なものがある。

安く買えるなら、その分をベッドのマットレスに回したい(笑)。

だから、少しは値段の相談をするつもりでいた。

途中、店員さんがもっと安い商品へ案内してくれそうになった。

そこで私は言った。

「安いものが欲しいんじゃないんですよ。いいものを安く買いたいんです」

そして、

「冷蔵庫と洗濯機、両方ここで買うので、いいものを安く買えるのを一緒に探してください」

とお願いした。

こういうところは、20年以上営業をしてきた癖なのかもしれない(笑)。


11万5,000円なら、今日決めます

冷蔵庫と洗濯機を普通に買えば、13万円を超える組み合わせだったと思う。

そこから少しずつ相談して、最終的に提示されたのが119,000円。

店員さんからも、

「すでにネットより安いんですよ」

と言われた。

確かに、かなり頑張ってくれていた。

これ以上は難しいと言われてもおかしくない。

というか、ほぼ言われていた(笑)。

そこで最後に、

「115,000円なら、今日この2つを決めます」

と伝えた。

返ってきた答えは、

「難しいです」

だった(笑)。

ここで、さらに値段だけを押しても仕方がない。

だから聞いてみた。

「じゃあ、私の希望する金額に近づけるために、どこまで頑張れそうですか?」

「何かいい方法ないですかね?」

値段を下げてほしいというより、一緒に方法を考えてほしいという気持ちだった。

店員さんは、

「少し時間をください」

と言って、その場を離れた。

しばらくして戻ってきた。

そして提示された金額を聞いて驚いた。

110,000円。

私がお願いした115,000円より、さらに5,000円安かった。

条件はひとつ。

年会費無料のクレジットカードを作ってほしい、というものだった。

思わず、

「ちゃんと営業できるじゃん」

と思った(笑)。


お互いが納得できるところを探す

私は、クレジットカードを増やすのがあまり好きではない。

それでも、その提案には迷わなかった。

こちらは、欲しかった冷蔵庫と洗濯機を想像以上に安く買える。

店側は2台の商品が売れて、カードの契約も一件取れる。

私が「何かいい方法はありませんか」とお願いしたことに対して、店員さんはちゃんと自分たちにもメリットのある方法を考えて戻ってきた。

それなら話は早い。

「それでいきましょう」

と答えた。

さらに洗剤まで付けてくれた(笑)。

もしそこで私が、

「カードは作りません。でも11万円にしてください」

と言っていたら、さすがに違うと思う。

自分が逆の立場なら、たぶん嫌になる(笑)。

値引き交渉は、相手からいくら引き出せるかだけではないと思っている。

こちらにもメリットがある。

相手にもメリットがある。

お互いが納得できるところを見つけられたら、それが一番気持ちいい。


最後の「ありがとうございます」が気持ちよかった

会計を終えたとき、店員さんが、

「ありがとうございます」

と言った。

その「ありがとうございます」が、なんだか気持ちよかった。

私が安く買えたからではない。

たぶん、相手にとっても悪くない商談だったのだと思う。

冷蔵庫と洗濯機が売れて、カードにも一件入った。

私は想像していたより安く、欲しかったものを買えた。

営業を長くやっていると、なんとなく分かる。

あれは、どちらかが我慢して終わったときの「ありがとうございます」ではなかった。

お互いに納得して終わったときの「ありがとうございます」だった。

だから私も、気持ちよく店を出ることができた。


今回の引っ越しで、いろいろなものが小さくなる。

45㎡の部屋から、25㎡の部屋へ。

507Lの冷蔵庫から、160Lへ。

クイーンサイズのベッドも手放す予定だ。

でも、何もかも小さくして、何もかも安いものに変えたいわけではない。

今の自分には必要のないものは小さくする。

その代わり、自分が大切にしたいところには、ちゃんとお金を使う。

今回の冷蔵庫と洗濯機を選びながら、そんなことを考えた。

ちなみに、今使っている507Lの冷蔵庫は実家へ送ることになっている。

東京から福山までの送料は、46,000円。

今日買った新品の冷蔵庫より、今使っている冷蔵庫を福山まで送る送料の方が高い(笑)。

まあ、まだ使えるからいい。

冷蔵庫と洗濯機は決まった。

次はベッドだ。

引っ越しって、本当にお金がかかる(笑)。

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