旅行は我が家の共通の趣味だった。
いや、趣味を超えていたのかもしれない。
家族を繋げる手段だったのかもしれない。
昔から旅行は好きだった。
私も。
妻も。
娘も。
娘も自然と旅行好きに育った。
共通の趣味や目的は強い。
家族で同じ場所に行き、同じ景色を見て、同じ思い出を作る。
当たり前のようでいて、意識しないとできないことだと思う。
もちろん気持ちだけでは実現しない。
お金もかかる。
我が家は、そこにお金を使った。
家族共通の思い出のために。
何より、妻や娘が旅行を好きだった。
叶えてやりたかった。
語弊のないように言うと、私もかなりの旅行好きだ。
ただ違ったのは、家計を預かっていたことだった。
お金に余裕はなかった。
旅行の話になると、
「そんな余裕ないよ」
と少し怒ることもあった。
でも結局、私は妻と娘の希望を叶えてやりたかった。
八割方そんな感じだったと思う。
沖縄。
北海道。
九州。
ベトナム。
ハワイ。
いろんな場所へ行った。
特に沖縄は毎年のように行った。
どちらかというと、少し贅沢なホテルを選んだ。
妻が喜ぶから。
娘が喜ぶから。
その姿を見るのが好きだった。
そして、その思い出を残したかった。
どこの家庭にも、家族の形を保つための大切な要素があると思う。
我が家にとって、それは旅行だった。
旅行そのものもそうだが、
どこへ行こうかと考える時間。
ホテルを探す時間。
飛行機を予約する時間。
準備をする時間。
そういう過程も含めて大切なものだった。
共通の目的や話題は、家族円満の潤滑油になる。
当時の私はそう思っていたし、
実際、それでうまく回っていたと思う。
旅行は我が家の特別なイベントだった。
起案者は妻。
実行部隊は私。
ずっと変わらない構図だった笑
旅行に行くために工夫もした。
JALカードを作り、マイルを貯めた。
毎年沖縄へは、ほとんどマイルで行った。
ホテル代と滞在費くらいしか払っていなかったと思う。
だから今でもJALカードを使っている。
家族の形が変わった今も、相変わらずマイルだけは貯まっていく。
娘が友人と海外旅行へ行く時に使えたらと思って貯めていた。
でも今は、
「気軽に使いなよ」
と言える距離感でもなくなってしまった。
今になって思う。
あれだけ家族旅行を大事にしてきたことが、本当に正解だったのか。
今の現実にどんな影響を与えているのか。
正直、分からない。
でも、一つだけ言えることがある。
私は家族で旅行するのが好きだった。
ただ、それに尽きる。
小さな娘と旅行できる時間も。
その隣にいる妻との時間も。
永遠じゃないと思っていた。
娘が大きくなれば、いつか親と旅行なんて行かなくなる。
だから私は、その時を生きていた。
後に伸ばす余裕なんてなかった。
今しかない。
ずっとそう思っていた。
だから後悔はない。
何一つ。
やれることは全部やってきた。
「金は天下の回りもの」
妻がよく言っていた言葉を思い出す笑
確かにその通りだった。
その代わり、貯金なんてあまりできなかったけど笑
旅行は深い。
一言では伝えられない。
それくらい家族に大きな影響を与えてくれた。
でも、今でも写真を見返すたびに思う。
あの時、三人で笑っていた。
それだけで十分だったんじゃないかと思う。
そして、そう思えることが、私にとって一番の幸せだったのかもしれない。

