家庭裁判所で、あんかけチャーハンを食べた。

数日前の昼、私は霞ヶ関にいた。

数週間後に迎える家庭裁判所での手続きに向けて、資料を提出するためだ。

何度か来ているうちに、すでに慣れてしまった自分がいる。

もう何も考えなくても辿り着ける(笑)。

位置関係も完璧。

コンビニがあることも知っている。

なんなら、この辺りの公的機関には、それぞれ違うコンビニが入っていることまで知っている(笑)。

ただし、用がなければ自由に入れるわけではない。

以前、どうしてもセブン銀行ATMを使いたくて、隣の機関に入れないか警備員さんに聞いたことがある。

当たり前のように断られた(笑)。

そんなことを思い出しながら、この日も家庭裁判所へ向かった。


到着したのは12時頃。

資料を提出しようと思ったら、どうやら昼の時間は受付をしていないらしい。

さて、どうしよう。

ここで1時間何もしないのも、もったいない。

そうだ。

昼ご飯を食べよう。

問題は、どこで食べるかだ(笑)。

家庭裁判所の中に食堂があることは知っていた。

でも、さすがにこの流れで家庭裁判所の食堂に一人で入って昼ご飯を食べる勇気はない。

たぶん、ここで働いている人たちが使う食堂だ。

そう思って、まずは隣のファミリーマートへ行った。

でも、あまりピンとこない。

最近はコンビニのお弁当も結構する。

そもそも、お弁当を買ったところでどこで食べればいいのかも分からない(笑)。

結局、もう一度食堂の前まで戻った。

値段を見る。

800円前後だったと思う。

……こっちの方がいいな。

勇気が出なかった私の背中を押したのは、

コスパだった(笑)。


意を決して食券売り場へ向かう。

静かに。

当たり前のように。

まるで、ここの職員であるかのように(笑)。

どうやらSuicaも使えるらしい。

ランチのボタンを押して、Suicaをタッチする。

よし。

今のところ、完全に職員だ。

そう思った矢先だった。

突然、ブザーが鳴り出した。

なんだこれ(笑)。

しかも食堂全体に響き渡るような音で、

「従業員を呼んでください」

というアナウンスまで流れ始めた。

勘弁してくれ……。

本気でそう思った。

勇気を出して、ここまで来たのに(笑)。

しかも、さっきまで誰も並んでいなかったのに、こういう時に限って後ろに人が並び始める。

たぶん、本当にここで働いている人たちだ(笑)。

もう、なりきるしかない。

堂々と従業員さんを呼びに行き、食券機まで来てもらった。

どうやら食券機の券が切れたらしい。

なんというタイミングだ(笑)。

「もう食券はいいので、そのままカウンターへ行ってください」

そう言われた。

カウンターへ行き、また同じことを説明する。

もうスムーズに、あんかけチャーハンを食べさせてくれ(笑)。

心からそう思った。


無事、あんかけチャーハンを受け取る。

どうやら味噌汁とサラダも付いてくるらしい。

お盆を取ってきて、というジェスチャーをされたので取りに行く。

まだ慣れない職員のふりを続ける(笑)。

確かに、これならコスパはいい。

少し離れた、人の少ない席に座った。

正面にはグリーンの庭園が見える。

地下なのに、思っていたよりいい場所だった。

周りを見る。

職員らしき人。

弁護士らしき人。

学生のような人も、何かを勉強している。

そして私は、

家庭裁判所で、あんかけチャーハンを食べようとしている(笑)。

人生でこんな昼を過ごすことになるとは、想像したこともなかった。

目の前のあんかけチャーハンを見る。

美味しそうだった。

本当は写真を撮ろうか少し迷った。

普段なら、たぶん撮っている。

でも、さすがにそこまでの勇気はなかった(笑)。

今日はもう十分、勇気を使っている。

食べる。

本当に美味しかった(笑)。

家庭裁判所の食堂って、結構美味しいんだな。

そんなことを思いながら、あっという間に食べ終えた。


食後は水を飲みながら、書類受付が始まるまで少し時間を潰した。

周りにいた人たちは、仕事へ戻っていったのだろうか。

気づけば、最後まで残っていたのは私だった(笑)。

食堂を出る時、おじちゃんとおばちゃんが親切に挨拶してくれた。

私も自然に挨拶を返す。

たぶん、違和感はなかったはずだ。

なぜなら、この日はスーツだったから(笑)。


人生で家庭裁判所へ来ることなんて、以前の自分は想像もしていなかった。

今では、

どこにコンビニがあるのか。

食堂がどこにあるのか。

書類をどこへ提出するのか。

入る時に検査があること。

そんなことまで知っている。

ある人にとっては、一生経験することのない場所なのかもしれない。

なんだか不思議な感覚だ。

でも、これも私の人生には必要だった経験なのだと思う。

人生は一度しかない。

そう考えれば、こんな経験も自分にとっては意味がある。

そして何より、

家庭裁判所のあんかけチャーハンは美味しかった(笑)。

写真はない。

あの時の私には、そこまでの勇気はなかったからだ(笑)。

でも、あのあんかけチャーハンは今でも目に焼き付いている。

写真には残せなかったけれど、記憶にはしっかり残ったらしい(笑)。

今日も一つ、いい経験をした。

そんなことを思いながら、すっかり慣れてしまった帰路についた。

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