家族のこと

一人暮らしになって気づいたことがある。
それは、掃除や洗濯の大変さではない。
料理でもない。
家族の存在だった。
もちろん、人によって家族との関係は違うと思う。
でも私は、自分なりに家族を大切にしてきたつもりだ。
娘は一人娘だった。
だから運動会も参観日も欠かしたことがない。
個人懇談。
文化祭。
塾選び。
学校説明会。
オープンスクール。
バレエの発表会。
大学選び。
どれだけ仕事が忙しくても、できる限り参加してきた。
仕事はまたできる。
でも、その時間は人生で一度しかない。
そんな気持ちだった。
娘が思春期の頃、友人関係で悩んでいた時期があった。
娘には内緒で学校へ行き、先生と話をしたこともある。
多分、娘は今でも知らない。
それで良いと思っている。
親なんて、そんなものだと思う。
妻のこと
妻は芯の強い人だった。
でも弱い部分もあった。
だから私は、自分が支えなければいけないと思っていた。
家計の管理もしていた。
娘は中学から私立だった。
中高一貫校に通い、大学も私立へ進学した。
お金のことも進路のことも、一緒に考えてきた。
妻はあまり得意ではなかったのかもしれない。
あるいは私に任せてくれていたのかもしれない。
今となっては分からない。
でも一つだけ確かなことがある。
妻には勇気があった。
娘の進学を機に、東京への転職を決めたのは妻だった。
私はその決断に驚いた。
そして少し尊敬もした。
だから私も転職した。
家計のこともあった。
でも本当は違う。
家族3人で東京で暮らしたかった。
それが本音だった。
当たり前は続くと思っていた
東京に来てから、少しずつ何かが変わった。
喧嘩も増えた。
お互いに余裕もなくなった。
思いやりも減っていたのかもしれない。
でも私は気づかなかった。
家族はずっと続くものだと思っていた。
切れることのない絆だと思っていた。
だから変化に気づけなかった。
今思えば、それが一番の後悔かもしれない。
一人暮らしになって気づいたこと
一人暮らしになって最初に困ったのは、
ドライヤーがないことでも、
掃除機がないことでもなかった。
そんなものは買えばいい。
Amazonもある。
サブスクもある。
最近はChatGPTに相談すれば大抵のことは何とかなる。
でも家族は違う。
代わりがない。
何気ない会話。
気を使わない時間。
くだらない喧嘩。
「おはよう」
「おかえり」
そんな当たり前の日常こそが家族だったのだと思う。
失ってから気づくなんて、少し情けない話だけれど。
写真を撮りながら考える
最近は週末に写真を撮りに行くことが習慣になった。
カメラを持っている時だけは、色々なことを忘れられる。
でも移動中は違う。
家族連れを見る。
カップルを見る。
楽しそうに笑っている人たちを見る。
すると、ふと思う。
みんなすごいな、と。
誰かと暮らすこと。
家族でいること。
それは簡単なことじゃない。
でも、とても価値のあることなんだと思う。
家族という存在
私は今、一人暮らしをしている。
自由な時間も増えた。
自分のペースで生活もできる。
でも、それでも思う。
家族という存在は特別だった。
AIも便利になった。
私自身、たくさん助けられている。
でも家族の代わりにはならない。
きっとこれから先もならない。
だから今、家族と暮らしている人には、その時間を大切にしてほしいと思う。
何気ない毎日は、当たり前のようで当たり前じゃない。
私も、一人暮らしになって初めてそれに気づいた。
少し遅かったかもしれない。
それでも気づけたことには意味があると思いたい。

